
国が実用化を目指す高速炉をめぐり、茨城県にある実験炉「常陽」の今後の計画について、事業者は来年度半ばに運転再開したうえで、がん治療への利用が期待される医療用の放射性物質の製造試験にも活用することを国に報告しました。
政府はことし2月に策定したエネルギー基本計画で、次世代型の原子炉の開発を進めることを掲げていて、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを再利用するとともに、放射性廃棄物の有害度を低減する効果が期待される高速炉をその一つに位置づけています。

18日は文部科学省の会議で、国内唯一の高速実験炉「常陽」について、事業者の日本原子力研究開発機構が来年度半ばに運転再開したうえで、放射性廃棄物の有害度を低減する研究などに加え、医療用に使われる放射性物質の製造試験を行う計画を説明しました。
原子力機構によりますと「常陽」で製造するのは、これまで国内では製造が難しく希少だとされる「アクチニウム225」という放射性物質で、がん治療への活用が期待されているということです。
原子力機構は、2030年ごろまでに安定して製造できるようになることを目指すとしています。
医療用の放射性物質をめぐっては、需要が高まっているとして、原子力委員会が国内での製造や利用を推進するため、研究開発や人材育成を強化する必要があるという見解を示しています。