日本近海で繁殖するオオミズナギドリの最大の繁殖地、伊豆諸島の御蔵島で野生化したネコが年間およそ3万5000羽のオオミズナギドリを捕食しているとする試算を森林総合研究所などの研究グループがまとめました。

オオミズナギドリは、日本近海で繁殖する渡り鳥で、最大の繁殖地として知られる伊豆諸島の御蔵島では1970年代後半に推定で最大350万羽が繁殖していましたが、2016年には10万羽程度まで減少し、原因として野生化したネコによる捕食が指摘されています。
捕食の影響を把握するため森林総合研究所の亘悠哉チーム長らのグループは去年1月から3月にかけて御蔵島のネコのふんを調べました。
その結果、これまで知られていたオオミズナギドリの飛来時期よりも1か月余り早い1月29日に採取されたふんから羽などが見つかり、ネコが捕食する期間が想定より長いことが明らかになったということです。
また、2月以降にはふんからオオミズナギドリの体の一部が見つかる割合が急激に増加することもわかりました。
こうしたデータをもとに推定したネコ1頭が捕食するオオミズナギドリは330羽で、1年間で少なくとも3万4980羽が捕食されていると試算しています。

亘チーム長は「ネコによる捕食の実態は深刻だ。生態系に影響を与えないよう野生化したネコの管理を強化することが人間の責任だ」と話しています。