地価高騰で子育て世代「脱・東京」近郊へ 転出超過1万7000人余
2024年3月26日 18時55分 不動産
地価の上昇などに伴う住宅価格の高騰が続くなか、東京の子育て世代が神奈川、埼玉、千葉に転出する「脱・東京」の動きが続いています。去年1年間で転出超過は1万7000人余りに上り、内閣府は「子育て世代が住宅価格が安い首都圏近郊に向かっていることを示唆している」と指摘しています。
総務省が公表する「人口移動報告」をもとに、東京と神奈川、埼玉、千葉の人口移動を年齢別に分析したところ、20代は、すべての県で東京への転入超過だった一方、子育て世代にあたる30代と40代、そして、その子ども世代にあたる14歳以下は、それぞれ転出超過となり、合わせて1万7102人に上りました。
内訳は、
▽東京から埼玉県への転出超過が最も多く8086人で、
次いで、
▽千葉県が4557人、
▽神奈川県が4459人となっています。
こうした動きは2020年ごろから顕著となっていて、内閣府はことし2月に公表した経済レポートのなかで「都内ではファミリー向けの賃貸やマンション価格が上昇を続けており、子育て世代が住宅価格や賃料の低い首都圏近郊へ向かっていることを示唆している」と指摘しています。
そのうえで「子育て世代が住宅を購入できない場合、中長期的に就業率や出生率の低下につながる可能性がある」として、「公的住宅の供給拡大といった供給面の施策を進めることで、子育て世代の住まいを確保する必要がある」と提言しています。
予算に合う物件が見つからず郊外移住
子育て世代の中には、都内で住宅を探したものの予算に合う物件が見つからず、郊外に移り住む決断をした人もいます。
都内の社宅に住んでいた40代と30代の夫婦です。
6歳の娘が小学校に入学する前に新たな住まいを決めようと、1年以上前から東京23区内で家族4人で住める広さの物件を探し始めました。
しかし、都内の分譲マンションは値上がりしていて、7000万円の予算に収まる物件は見つからなかったといいます。
都内で賃貸も探しましたが、ファミリー向けの物件は少なく、賃料も高止まりしていたため断念し、最終的に、通勤時間や教育環境などを考慮して、千葉県習志野市の賃貸マンションに住むことを決め、今月下旬、都内の社宅から引っ越しました。
習志野市内でも、新築マンションは8000万円を超えるということで、夫婦は賃貸に住みながら今後も予算に合う物件を探し続けることにしています。
30代の妻は「習志野市内でも10件以上物件を見ましたが、都内に比べて大きく値下がりしている感じはなく時間切れで今は仮住まいです。まだ家探しが続くと思うと憂うつな気持ちもありますが、気持ちを切り替えて前向きに新生活を送りたいと思います」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240326/k10014403051000.html