イカした「墨」でアピールするイカ 「ハートマーク」で求愛も
2024年2月14日 4時46分
イカが敵を惑わせて逃げるために吐き出すとされる墨を、自分を白く目立たせて、メスにアピールする求愛行動にも使っているとする研究成果を東京大学などの研究グループが発表しました。
このような求愛行動が確認されたのは初めてだということで、研究グループは動物のコミュニケーションの進化の理解に役立つと期待しています。
東京大学大学院の大学院生、中山新さんらの研究グループはコウイカの一種、「エゾハリイカ」のオスがメスに求愛する際に、2本の特殊な腕で触れながら墨を吐き出すことに注目し、観察を行いました。
その結果、オスは長時間にわたってメスを腕でなでたり、小さな塊状の墨を吐いたりしたあと、最後には広範囲に墨を吐いて背景を暗くしたあと、自分の体を白く輝かせてメスに求愛していることが明らかになったということです。
研究グループによりますと、こうした求愛行動をするイカが確認されたのは初めてだということです。
研究グループの東京大学大気海洋研究所の岩田容子准教授は「高い知能をもつイカが、本来は逃げるために使う墨を求愛行動に転用していたことにすごく驚いた。求愛したいと思ったらすぐにその舞台を整えることができるのは大きなメリットであり、動物のコミュニケーションの進化の理解に役立つだろう」と話していました。
「ハートマーク」で求愛も
「エゾハリイカ」は胴体の長さが12センチほどの小型のイカで、北海道南部からフィリピンにかけての水深50メートルほどの海に生息していますが、詳しい生態はまだよくわかっていないということです。
この「エゾハリイカ」の繁殖を国内で初めて成功させたという青森県営浅虫水族館は2019年に、オスが短い2本の腕を使って「ハートマーク」を作りながらメスに求愛しているとされる様子を撮影することに成功し、話題となりました。
今回の研究成果は、腕で「ハートマーク」を作っているときに、同時に墨を吐いていることにも注目して観察を続けた結果、明らかになったということです。