航空機整備士 将来の人材確保
国や航空会社が新たな奨学金制度
航空機の整備士を養成する学校への入学者が大幅に減少していることなどを受け、国や航空会社は将来の人材を確保するため、整備士を目指す学生向けの奨学金制度を新たに設けました。
国土交通省によりますと、航空機の整備士をめぐっては、外国人観光客の増加などでさらなる人材の確保が求められる一方、今いる整備士は年齢層が高く、今後10年ほどで大量退職する見通しだということです。
そのうえ、整備士を養成する学校への入学者数が近年大幅に減っていて、その要因のひとつに学費の負担があるとみられるということです。
このため、国土交通省と航空会社、専門学校などが連携し、整備士を目指す学生向けの奨学金制度を新たに設けました。
制度の運営は日本航空技術協会が行い、連携する専門学校や大学の学費として1人当たり最大で50万円を無利子で貸し出します。
1学年で100人を上限にするということです。
制度は、令和6年度に入学する学生からが対象で、12月1日から募集を始めるということです。
学生が整備の技術競い合う技能コンテストも
また、17日は人材育成の一環として、羽田空港の格納庫で専門学校などで整備を学ぶ学生たちが集まって整備の技術を競い合う技能コンテストも開かれました。
コンテストには現役整備士のチームも加わり、はんだ付けの技術などで競っていました。
岐阜県の航空専門学校から技能コンテストに参加した21歳の男子学生は「奨学金を借りられないと学校に通えないという同期もいると聞いているので、金銭面が問題で航空業界を目指せない人たちもいるのが現状だと思う。奨学金はひとつの障壁を取り払ってくれるものだと思う」と話していました。
同じ専門学校から参加した25歳の女子学生は「私たちの学年は先輩たちと比べて人数が少ないので、ひとりでも整備士をやりたいという人が学校に入れるのであれば、とてもいいことだと思います」と話していました。
奨学金制度の新設に関わった全日空の宮前利宏 整備センター長は「航空機の整備は自動化が難しいので、人を育てていかないといけない。奨学金で若い人、有望な人たちが整備士になってくれることを期待している」と話していました。