信越化学とOKIが「GaN縦型導電」を可能に、パワーデバイスに活用
信越化学工業とOKIは、窒化ガリウム(GaN)成長用の複合材料基板からGaN機能層のみを剝離し、異種材料基板に接合する技術を共同開発した。GaNの縦型導電が可能となり、より大電流を制御できるパワーデバイスの実用化が期待できる。
GaNは、電圧1800ボルト以上の高耐圧に対応したパワーデバイスや高周波デバイスなどへの応用が期待される。基板にシリコンを用いた「GaNonSi(ガン・オン・シリコン)」など、現行のGaN系デバイスは電流が横(水平)方向に流れる「横型」のデバイスが主流。ただ、電流が垂直方向に流れる「縦型」は、横型に比べて高電圧・大電流に適していることから、電気自動車(EV)などの分野で需要拡大が見込まれている。
信越化学は米クロミスからライセンスを取得し、GaN成長用の複合材料基板「QST基板」を独自改良してきた。基板の熱膨張係数をGaNと同等とし、反りやクラックを抑制。直径200ミリメートル以上のウエハーでも高耐圧な厚膜GaNの結晶成長を可能にした。
OKIの剝離・接合技術(CFB)は、QST基板から特性を維持した状態でGaN機能層のみを剝離できる。さらに、絶縁性バッファー層を除去し、GaNをさまざまな基板に接合することを可能にした。放熱性の高い導電性基板と接合することで、高放熱と縦型導電の両立が実現できる。
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