新幹線で「座席濡れ検知装置」を導入
1日に170件以上という“濡れ”の原因は
東京駅に入ってきた新幹線が下りの「新大阪」行として発車するまで、おおよそ平均16分。ピンクの制服を着た清掃スタッフが一斉に乗り込むと、てきぱきと作業を進めていく。いまや世界的に有名な新幹線の清掃風景だが、実際に要するのはたった7分ほどである。手際の良さは、米ハーバード大学経営大学院が授業で取り上げたこともあるほどだが、その作業数は膨大だ。なかでも座席の“濡れ”を見逃すことは、許されない。
11月26日、JR東海はサーモグラフィーカメラを使った「座席濡れ検知装置」を導入すると発表した。背もたれの上からセンサーを座席に向けてかざすと、濡れているかどうか即座に分かるという器械だ。 JR東海の広報担当者が言う。 「これまで、座席が濡れているかどうか調べるためには、スタッフが『濡れ検知機能付ホウキ』というものを1席ずつ当てて、電極を押し付けて調べていたのです。しかし、新幹線は1両で100席近くあり、中腰になって一つ一つ調べるのは大変でした。それが、サーモグラフィーを使った濡れ検知装置だと、屈むことなしに一度に2席、3席と調べることができるのです」
“濡れ”の原因は
同社によると、新幹線車両の清掃は1日100本ほど行い、その中で見つかる“濡れ”は平均175.9件にのぼるとか。1本あたり1.7件という計算になる。原因は、傘の水滴やこぼれたお茶、コーヒー、あるいは汗だというが、それだけではないはず。たとえば人の“お漏らし”だ。 実際、年配者になれば尿漏れはあるし、高級スポーツクラブの中には椅子に“尿取り”の敷物が置いてあるところも……。 そこで再度、JR東海に聞いてみると、 「やはり、傘の水、飲料、汗が圧倒的に多いと考えておりまして、それ以外の“濡れ”の原因が何であるかまでは分かっておりません。お客様が漏らしてしまう場合もあるかもしれませんが、そうした方は大人用おむつをしておられるでしょう。清掃チームは座席が濡れていると、すぐにシートを取り替えてしまいますので、それ以上は調べようがないのです」
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