「絶対に管理職にしてはいけない社員」5つの条件
このところ働き方改革やコロナ対応などで職場の運営が難しくなり、マネジャー(管理職)には高度なマネジメント能力が求められています。
一方、日本企業ではまだまだ年功序列が濃厚で、「どうしてこの人が……」という能力的に不適格な管理職がたくさんいると指摘されています。
今回は、企業の経営者・人事部門・一般社員32名へのヒアリングをもとに、「絶対に管理職にしてはならない社員」の条件を考えてみましょう。
まず、管理職の下で働く一般社員に「今すぐ降りてほしい(いなくなってほしい)管理職」の条件を訊ねました。
条件1.一貫性がない
「当社では、不適格な管理職が結構います。不適格な管理職は、口(発言)と腹(本心)と背(行動)が一貫していません。言うことがコロコロ変わるし、信念を持って本気で語っていないので、発言に力強さがなく、軽い。どうせまた前言撤回するんだろうなと思うと、ついていく気になれません」(機械・管理部門社員)
条件2.部下よりも自分の利益を優先する
「以前、仕事のミスで会社に大きな損害を与え、経営幹部から叱責されました。そのとき同席した直属の課長は、われわれをかばうどころか、『ミスが起こらないように私のほうではちゃんと指導したんですがね』と責任回避に走る始末。自分の立場しか考えず、自己保身ばかりする管理職は、人としてサイテーです」(金融・営業部門社員)
条件3.肩書で人を動かそうとする
「温情人事で辛うじて昇進した実力のない管理職ほど自分を大きく見せたいという意識が強く、肩書で部下を動かそうとします。『課長の俺の言うことを聞けないのか』とか『ちゃんと俺に筋を通してくれなきゃ困るよ』と、とにかく権威主義的・高圧的です。自分に実力がないことをわかっているなら、大人しくしてくれれば良いのにな、と思います」(部品・製造部門社員)
この他にも、「部下の手柄を横取りする」(IT・システムエンジニア)、「部下を信頼せず、部下の一挙手一投足を管理しようとする」(金融・業務部門社員)といった管理職の問題行動が指摘されました。やはり部下にとっては、直属の上司である管理職の自分たちへの接し方に不満を持っているようです。
次に、経営者や人事部門責任者に「管理職に上げたくなかった社員」「管理職に上げて失敗だった社員」の条件を聞いてみました。
条件4.向上心がない
「やっとこさで管理職になれたという場合、もうそれ以上の出世の芽はないので、管理職になったことに満足し、まったく努力をしなくなります。あと、担当業務で実績を上げて昇進したという場合、ここからマネジメントスキルを学んでほしいのですが、なかなか気持ちの切り替えができません。そういう向上心のない管理職の姿勢は部下にも確実に伝播し、職場全体が無気力になってしまいます」(食品・人事部門担当常務)
条件5.経営的な視点・姿勢がない
「経営環境の不確実性が増す中、職場の管理職と言えども、戦略構想力が不可欠になっています。戦略構想力を持った上で、多様な意見を統合して成果を生み出すマネジメント力や複数のシナリオを描くなどをスピーディーに行うことが求められます。プレイヤーとしては優秀でも、そういう経営的な視点・姿勢を持った管理職は少ないですね。われわれの育成が失敗したということですが」(物流・社長)
この他に、不適格な管理職は「上からの指示を下に伝えるだけで、自分の責任で職場を改革しようとしない」(小売・人事部長)、「世の中の動き、お客様の声、競合の戦略に目を向けず、自分の殻に閉じこもっている」(エネルギー・社長)という指摘がありました。経営者や人事部門は、管理職に一般社員と違った次元の高い取り組み姿勢を求めているようです。
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