現代に伝わる、歌舞伎のことば
二枚目
優男(やさおとこ)の美男子のことを「二枚目」と言うことがありますが、これは、歌舞伎の番付で、二枚目の看板に若い色男の役者の名前が書かれることに由来しています。
主役は一枚目で、道化役は三枚目に書かれるため、現在でもコミカルな役の俳優は「三枚目」と呼ばれます。
鳴り物入り
スポーツニュースで「ドラフト1位、期待の大型新人が鳴り物入りでデビュー」などと使われる「鳴り物入り」。
「鳴り物」とは、歌舞伎で使う太鼓や笛などの楽器のことです。伴奏として舞台をにぎやかに囃し立てるところから、大げさな宣伝が行われることを「鳴り物入り」と言うようになりました。
十八番(おはこ)
カラオケで自分が一番得意な曲を「おはこ」と言うことがあります。
腕に覚えのある特技や芸のことを、「十八番」と書いて「おはこ」と読みます。
七代目市川団十郎が、市川家が代々得意としていた演目の台本を18種選び、桐の箱に入れて保管しておきました。この18種の演目が「歌舞伎十八番」と呼ばれていたことから、箱に入った十八番=「おはこ」というようになり、さらに得意とする芸の意味でも使われるようになったようです。
幕の内弁当
江戸時代、歌舞伎は日の出から日没まで上演される、一日がかりの娯楽でした。そこで、芝居の幕と幕の合間に観客が食べるお弁当を「幕の内弁当」と呼ぶようになったといわれています。
写真は歌舞伎座場外(地下2階)で販売されている幕の内弁当です。かまぼこが定式幕(じょうしきまく)と同じ、黒・柿色・萌葱の3色になっています。ご飯もゴマではなく、ゆかりと錦糸卵がまぶしてありました。
季節の味覚を取り入れた上品な色合いのお弁当は、今も昔も歌舞伎鑑賞を彩る楽しみの一つですね。
リンク:http://www.chokanji.com/magazine/exploration/ex09/
[単語]
1. 道化役(どうけやく): 芝居で道化を演ずる役。また、ふざけたり、おどけたりする役目。
2. 演目(えんもく):上演される演劇などの題名。
3. 型押し(かたおし):凹凸のある模様をつけることです。
4. 錦糸卵(きんしたまご):薄焼き卵を細く切ったもののこと。