韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、27日午前の南北首脳会談で、朝鮮半島の非核化と平和定着、それに南北関係の発展について話し合い、共同宣言がまとまれば、両首脳が署名し、そろって発表することになりました。
10年半ぶり、3回目となる南北首脳会談は、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)の韓国側の施設、「平和の家」で、27日午前10時15分から始まりました。
会談では冒頭、北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が、「軍事境界線を越えてここに来るまで11年。どうしてこんなに時間がかかったのか」と述べました。そして、「歴史的な場に期待が集まっており、南北関係の新しい歴史が始まる。過去のように振り出しに戻ることがないようにしよう。随時会って、未来志向で手を携えていきたい」と述べ、今回の会談に期待を示しました。
これに対して、韓国のムン・ジェイン大統領は、「全世界の注目がパンムンジョムに集まっている。キム委員長が史上初めて軍事境界線を越えた瞬間、パンムンジョムは分断の象徴ではなく、平和の象徴になった」と応じました。そのうえで、「こんにちの状況をつくり出したキム委員長の英断に感謝する。対話を通じて合意を成し遂げ、平和を望む世界のすべての人たちに大きな贈り物ができればと思う」と述べました。
韓国大統領府によりますと、午前中の会談では、朝鮮半島の非核化と平和定着、それに南北関係の発展について話し合い、共同宣言がまとまれば、両首脳が署名し、そろって発表するということです。
会談に先立って、キム委員長は、午前9時半ごろ、軍事境界線を挟んで、ムン大統領と笑顔で握手をして言葉を交わしたあと、境界線を越えて韓国側に入りました。北朝鮮の最高指導者が軍事境界線を越えて韓国側に入ったのは、これが初めてです。
そして、キム委員長に促される形で、ムン大統領も、軍事境界線をまたいで北朝鮮側に足を踏み入れる一幕がありました。韓国大統領府によりますと、ムン大統領が「私はいつ、境界線を越えることができるでのしょうか」と述べたところ、キム委員長が「では、いま越えてみますか」と述べて、ムン大統領が、北朝鮮側に足を踏み入れたということです。
両首脳は、個別に昼食と休憩を取ったあと、軍事境界線近くで、「平和と繁栄」を象徴する松を、南北双方の土と水を使って植樹することにしています。そして、2人だけで、散歩をしながら言葉を交わしたあと、午後の会談に臨む予定です。
今回の会談では、北朝鮮がみずからは核保有国だとする立場を崩していない中で、キム委員長の非核化の意思を共同宣言などの形で明文化し、史上初の米朝首脳会談につなげられるのかどうかが焦点となっています。
 
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【単語】
1.振り出し:双六 (すごろく) で賽 (さい) を振りはじめる出発点。
2.未来志向:未来に目標を定め向かうこと。
3.成し遂げる:物事を最後までやりとげる。また、みごとにやってのける。
4.随時:①適宜な時に行うさま。その時々。②日時に制限のないさま。好きな時にいつでも。
5.踏み入れる:ある場所に入る。踏み込む。
6.象徴:抽象的な思想・観念・事物などを、具体的な事物によって理解しやすい形で表すこと。また、その表現に用いられたもの。シンボル。
【質問】記事を読んで次の質問に答えてください。
1.平和の家とはどんなところですか?
2.今回の会談で焦点となっているところを延べてください。